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チオインディゴの化学:有機化学論文から分かる応用例について解説

化合物紹介

記事の内容

この記事では有機化合物であるチオインディゴ の特徴や性質を説明し、構造有機化学の分野でどのような役割として用いられているか、論文から集めてきた情報をまとめて紹介していこうという内容になっております。有機化学の研究をしている大学生の情報収集ツールとして、また新たな分子設計の参考として活用いただけたらと思います。

チオインディゴとは

チオインディゴはインディゴの窒素が硫黄に置き換わった化合物であり、トランス型 (E体) とシス型 (Z体) の幾何異性体があります。インディゴについては下の記事を参考にしてください。

図1 チオインディゴの幾何異性体の構造

 

チオインディゴの性質

・可視光照射によりシス-トランス異性化が起こることでフォトクロミック特性を有する。
・シス型よりもトランス型の方が熱力学的に安定
・溶媒に溶けにくい
・同じくフォトクロミック分子のアゾベンゼンやスチルベンと比較して剛直な構造
・酸化還元反応を起こす。
・比較的長波長領域に吸収を持つ

チオインディゴを分子に組み込むと期待できること

フォトクロミズムを発現できる

適切な側鎖(エチレンジオキシ)を導入することで、金属の選択的な捕捉や放出を光により制御できる。

強誘電性スメクチック液晶の自発極化の符号反転、フェロ電性SmC液晶のフォトスイッチングの初の例が報告されているみたいです。→勉強不足のため後日分かり次第追記できたらと思います。

シリカゲルに吸着させるとトランス体は蛍光を発し、シス体は蛍光を発しないことから蛍光のON/OFFが可能

・溶媒の極性で蛍光のオンオフが可能な材料

Thioindigo, and sulfonated thioindigo derivatives
as solvent polarity dependent fluorescent on-off systems
– ScienceDirecthttps://www.sciencedirect.com/
science/article/abs/pii/S0143720818306375

・赤外領域に蛍光を示し、色素増感太陽電池に応用できる材料を作られているらしい

まとめ

・チオインディゴはシストランス異性化に伴うスイッチング材料として応用が期待される化合物です。
・他のシストランス異性化を起こす化合物との違いとして、比較的長波長領域の吸収と分子の剛直さが特徴になっています。
・様々な刺激に応答するスイッチング材料として魅力的な分子だと思いますので、皆さんには是非チオインディゴを使った新しくて面白い分子を合成していただければなと思います!

参考文献

Masahiro Irie and Masatoshi Kato, J. Am. Chem. Soc. 1985, 107, 4, 1024–1028.
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・Ricardo C. Pereira, Marta Pineiro, Adelino M. Galvão, J.Sérgio Seixas de Melo, Dyes and Pigments, 2018, 158, 259-266.
・Mozhgan Hosseinnezhad, Siamak Moradian, Kamaladin Gharanjig, Dyes and Pigments, 2015, 123, 147-153.

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